ご挨拶

 これまで、組織設計事務所で、永年にわたり、公共建築の設計プロジェクトに関わってきました。公共建築は社会資産としての側面を強く持っていますので、求められる課題も多く利用者にとってその機能性が特に計画上重要な要素となります。また都市環境に与える影響も大きく、景観を含め、環境との関わりが大事な要素となります。
 この度、組織設計を離れ、新たに仕事を始めるにあたっては、これまでの経験を生かし、建築の果たす社会的意義を深く考えよりクライアントに近い目線で、建築を考えて行きたいと思っています。建築は発注者個人の資産であると同時に、社会資産ともなります。クライアントにとって、多大な投資となる建築物は、その投資に見合った価値を生み、末永く愛されるものとなり、また、周辺環境として良好な関係性が生じるものであって欲しいと思っています。これまでの実績と経験を基づき、新たな技術と知見により、将来を生きぬく建築を提案していきたいと思っています。
 組織設計在職中、個人的に、いくつかの個人住宅等の設計に関わる機会がありました。建築は住宅にはじまり住宅に終わると云われるように、住宅は建築設計の原点です。出来れば、住まわれる方は自身の生き方、人生感を反映し、その家族にとって唯一のものと望まれる方は多いのではと思います。設計にあたっては、クライアントとの綿密な打ち合わせを積み重ね、信頼関係を構築した上で、進めていく必要があります。また、地震等自然災害対策、CO2削減等環境への配慮、省エネルギー対策等、個人資産を守る上で、これからの建築に求められる課題は多種多様になってきています。設計者として、クライアントの求める意図を深く理解し、いままで設計を進めるにあたってテーマとしている光と影の織りなす豊かな空間づくりと、自然との関わりを重視した建築を目指し、これからの建築に求められる課題に応えていきたいと思っています。
小山 文雄

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